のんびり看護師ブログ

看護する上で大切にしていたことを共有できたらと思います。一つの経験談として読んでもらえたら嬉しいです!

不妊治療の検査、卵管通水検査は痛い?

不妊治療専門クリニックに通い始めるとまずはスクリーニング検査があります。

【スクリーニング検査】女性

  1. 血液検査(ホルモン値、抗体、感染症検査など)
  2. 内診(おりもの検査、感染症検査など)
  3. 超音波検査(卵巣、子宮内のチェックなど)
  4. 卵管通水検査(クリニックによっては卵管造営検査の場合もあります)
  5. ヒューナー検査(性交後に受診し頸管粘液中に運動している精子がいるかどうかを調べる検査)

 

【スクリーニング検査】男性

  1. 血液検査(ホルモン値、感染症検査など)
  2. 精液検査(精子数、運動率の検査)

 

今回はこの卵管通水検査について、経験したことをまとめます!

 

私が通っていたクリニックは、卵管通水検査でした。

 

卵管通水検査とは、

 生理食塩水を子宮の入り口から注入し、子宮内を充満させて子宮内膜や筋腫の有無、ポリープの有無を確認します。その後左右の卵管に生理食塩水を通し卵管の通りを評価する検査です。

 

 

 情報収集していた内容では痛みがかなりあるということだったので、検査までとても緊張していました。結果から言うと、卵管に注入している約30秒間(左右の卵管それぞれ約15秒間)、2日目のひどい生理痛のような重い痛みでした。

 

 検査自体は全体で約5分程度、最初に膣から子宮内に細いチューブを入れバルーンを膨らませて子宮内に固定します。生理食塩水を注入している間はそれほど違和感はないですが、徐々に鈍痛となり、ひどい生理痛くらいの痛みまで鈍痛がじわじわと強まってくる感じでした。

 

 その後、左右の卵管に1回ずつ生理食塩水を流すので約30秒ほど(それぞれ約15秒ほど)ひどい生理痛のような重い痛みがありましたが耐えられるほどでした。この時吐き気もなかったです。

 検査結果は両方とも卵管は通っており異常なしでした!

 まれに検査後に吐き気や下腹部痛があるとの情報もありましたが、私は特に吐き気や腹痛、出血もなく検査を終えることができました。

 

 

 

 

不妊治療についてのはなし~多嚢胞卵巣、チョコレート嚢胞~

今回は不妊治療について書いていこうと思います。

私たち夫婦は、自己流妊活半年、クリニックでタイミング療法3回、人工授精3回、体外受精(ふりかけ法)移植1回目(クリニックに通って約1年)で妊娠しました。

 

不妊治療を始めた経緯】

 結婚2年目、仕事も落ち着き、子どものことを考え始めたその年の3月から自己流の妊活を始めました。妊活を始めてから平均半年で妊娠するという情報を調べていたので、正直、すぐに妊娠するかと思っていました。

 できるだけ早いほうがいいなと夫とも話していたので、妊活を進めながらまずは二人でブライダルチェックを実施。私は婦人科に受診、夫は郵送での検体提出を実施しました。

 

 私は普段1~2ヶ月遅れる生理不順はよくありました。看護学生時代(この時はおそらく実習のストレスと思います)生理不順で3か月生理が来ない時があり、さすがに心配になってピルを処方してもらったことがあります。その時に、エコーで多嚢胞性卵巣症候群ぽい所見があったようで医師からは「ちゃんと検査して血液検査のデータでも当てはまったら多嚢胞性卵巣症候群と言えるけど、エコーだけじゃ今はまだ何とも言えないね。」という話がありました。

 

多嚢胞性卵巣症候群PCOS)とは

 通常、卵子が入った1つの卵胞がホルモンの影響で成長し、その後排卵するという経緯をたどりますが、多嚢胞性卵巣症候群では、未熟な卵胞ばかりが増え、卵胞の成長に時間がかかり排卵が起こりにくくなるといった病気です。

診断基準は、

  1. 月経異常(月経不順や無月経
  2. 多嚢胞性卵巣(エコー上でのネックレス兆候)
  3. 高アンドロゲン血症(血中男性ホルモン高値)またはLH値(黄体形成ホルモン)およびFSH値(卵胞刺激ホルモン)が基準値より高い

上記すべて当てはまる場合は多嚢胞性卵巣症候群の診断となるそうです。

 

実際の私のエコーです。小さな卵胞がいくつもあります。

 

 

 学生時代の検査から約7年ほど経ってからのブライダルチェックでした。前回同様エコーで多嚢胞性卵巣のネックレス兆候がありました。採血では異常値はなかったため多嚢胞性卵巣症候群の診断とはなりませんでしたが、その傾向であると医師からは説明されました。

 

 夫と二人で相談し、もう少し詳しい検査をしたい、もしなにか原因があって本格的な不妊治療が始まる可能性があるのなら初めから専門のクリニックにかかりたい、といった理由から自己流妊活を始めて半年経った頃に不妊治療専門のクリニックに通い始めました。

 

 そこでもやはり、最初の検査で多嚢胞性卵巣症候群の傾向であることと、ほかにも詳しいエコー検査の結果、左卵巣にチョコレート嚢胞があることもわかりました。

 

チョコレート嚢胞とは

 子宮内膜症の一種です。子宮内膜症は、子宮の内側にある子宮内膜の組織が子宮以外の部分にも発生する病気です。チョコレート嚢胞は、その子宮内膜の組織が卵巣に発生します。月経の度に組織が剥がれ落ちますが、逃げ道がないため卵巣に溜まります。排出されない古い血液がチョコレートのように見えることからこのように言います。年齢が高いとよりガン化し卵巣がんとなるリスクがあります。(若年層でもリスクはあります。)

 

 

 子宮内膜症という病気は聞いたことがありましたが、まさか自分がなっているとは思いませんでした。確かに、治療を始める2~3か月前くらいから、前より重い生理痛や左下腹部の痛みがそういえばあったなと、医師からの説明の後に思いました。社会人になってから新たにでき、生理の度に大きくなっていたのだと思います。

 

実際の私のエコーです。中央部グレーの丸いところです。長さを測っていてこの時は2.2㎝でした。



 

 多嚢胞性卵巣症候群子宮内膜症のチョコレート嚢胞がどれだけ妊娠の経過を妨げているのかこの時の私はわかっていませんでした。クリニックの治療計画に沿ってまずはタイミング法から始めました。

 

今回はここまでにします。次回も続きを投稿していきます。

循環器②~学べること編~

解剖の理解から術後合併症について前回お伝えしました。

今回は具体的に、学んだこと・大切にしてきたことを共有していきます。

 

①医療行為、看護ケア

さまざまな医療機器に触れる機会がありとても勉強になりました。

基本的看護ケア

環境整備、バイタルサイン測定、体位変換、清拭、洗髪、温罨法、冷罨法、手浴、足浴、入浴介助、口腔ケア、嚥下体操、食事介助、排泄介助、陰部洗浄、移動、移乗、褥瘡ケア、フットケア、抑制帯、与薬の投与、ルート確保、採血、注射、感染予防対策、家族看護、死亡時のケアなど

呼吸

呼吸器の管理、経口挿管の管理、気管切開の管理、気管切開チューブ交換時の介助、痰吸引、体位ドレナージ、無気肺予防の体位変換、酸素投与(カヌラ、マスク類)、Qin1、Qin2の観察・管理(胸腔ドレーン)、胸腔ドレーン挿入介助など

循環

心電図モニターの装着・管理、心電図の観察、CVカテーテルの管理、CVカテーテル挿入の介助、輸液管理、救命救急処置、意識レベルの評価、一時ペースメーカーの管理など

栄養

経鼻胃管カテーテルの管理・栄養投与、胃瘻、腸瘻など

消化器

排便コントロール、ストマ増設した場合はストマ管理、周囲の皮膚トラブルの管理など

腎臓泌尿器

尿道カテーテル挿入、尿道カテーテルの観察・管理、水分in outバランスの確認、浮腫の評価、肺音の評価、透析の場合はシャント部位の観察・管理、導尿、導尿指導など

その他

創部の観察、傷の洗浄・管理指導、創部感染の兆候の説明、血糖コントロール、血糖測定、インシュリン投与、血糖測定インシュリン投与の指導、スパイナルドレナージ、感覚障害や麻痺の評価、膀胱直腸障害であれば尿道カテーテルの管理や排便コントロール、術前術後硬膜外麻酔の管理など

他にも病態によっては他の科に併診する場合もあります。

②かかわり

せん妄患者への看護

 術後、一時的な意識障害が起こる場合があります。興奮状態の場合にはルート類の誤抜去のリスク、それに伴う転倒やベッドからの転落の可能性も考えられます。点滴ルートやチューブが、痛みや不快の要素となり自己抜去してしまう場合が多いです。

 まずは本当に必要なチューブ類なのかを考え、医師と相談する必要があります。食事を摂取することができており、水分確保以外の目的で医師が点滴を使用していない場合には食事からのカロリー摂取へ移行できます。また、尿道カテーテルも抜去してよいか医師へ確認します。創部の痛みはありますが、痛みのコントロールを行い早期離床して早いうちからトイレ動作のリハビリをすることが回復へとつながります。

 他の看護師や医師と相談し、必要最低限の医療機器へ絞った後は、安全に医療機器が使用できるような環境を整える工夫が必要になっていきます。寝衣の中に入れてチューブが見えないようにしたり、場合によってはチューブの長さを調整することもあります。できるだけ昼夜のリズムが取れるよう窓の近くにベッドを配置したり、動線を考えた部屋の配置、気が散らないようにあえて物を少なくしたり、逆に術前に使用していた慣れ親しんだ物を家族に持ってきてもらったり、時計を置いて時間感覚を刺激したりと、患者さんに刺激を与えつつ部屋の環境を整える工夫はたくさんあります。また、できるだけ早くせん妄状態から脱するためにも、薬を使って昼夜のリズムを整えたり、日中の覚醒を促したり、時には家族に協力してもらい面会時に会話をしてもらうだけでも刺激になってとてもよい効果となります。

 治療に必要なチューブ類がすべて抜けたことがきっかけでせん妄状態から脱し、すぐに術前の状態に戻った患者さんもいらっしゃいました。慣れない環境や医療器具がせん妄状態にさせていることがよくわかった事例でした。

認知症患者への看護

 手術前から認知症の方もいたり、長期の入院で認知症が進んでしまう方もいらっしゃいました。「認知症」と「手術」の組み合わせで最も注意しなければならないのが入院による認知機能低下、ADL低下、そして廃用症候群です。

 一例ですが、この経過をたどった方がいました。術前は食事動作やトイレ動作は自力で行えており軽い認知症だった方が、術後の絶対安静と長期の入院により認知症が悪化、自力で身の回りのことが行えなくなりました。術前は明るかった性格がほとんど笑顔を見せない姿になっていました。気分も下がってしまうためこちらから促しても離床する気力がなくベッドに横になる日々。食事もとれないため体重は減り、筋力も減るためさらに離床は困難、栄養状態も悪化、とうとう仙骨部に褥瘡ができてしまいました。その方は廃用症候群となり寝たきりになってしまったのです。どこかのタイミングで防げたところはあったと思います。私はこの経過をたどった患者さんをみて、少しでも認知機能の悪化を防ぎたいと思いました。

 術後の身体の回復のためには身体を休ませなければなりません。ですが日々の刺激が少なくなると認知機能低下へとつながりやすいため、早期から低下を最小限に抑える工夫が必要になっていきます。ここでも早期離床は大切です。できるだけ早く身体を動かすことで回復が早まります。食事動作やトイレ動作も患者さんの本来の能力を活かしながら、その他の必要な部分のみ介助を行っていきます。入院生活上のルール、例えば、「歩行不安定なためトイレ移動時はナースコールを押す」ことについてなかなかできない患者さんがいれば、部屋の中の常に目に入るところに張り紙を貼っておくなど工夫できます。自らナースコールを押すことが難しければ、訪室の頻度を増やし、その都度こちらからトイレの有無を確認し付き添うことも大切になっていきます。他にも上記の、「せん妄患者の看護」でもお伝えしましたが、家族の協力、自宅のものを持ってきてもらうことで精神上の安定を保てたり、術前を思い出したりすることでよい刺激となる場合もあります。医師の許可が下りれば一時的な自宅外泊も効果的かもしれません。

精神的サポート

 緊急手術で突然の入院となり、病気に対しての受け入れがまだ追いついていないという方もいます。受け入れには時間が必要ですが、医師からの病状説明を聞ける場を設置することや患者さんの思いを吐き出す場を作ることが大切になっていきます。

 今どんな治療を受けているのかわからない状態で入院しているのはとても不安なことと思います。医師からの病状説明や治療説明のほかに、その都度補足で分かりやすく簡単に伝えていくことも心がけていました。

 術後の痛みは、体力的にも精神的にもかなり疲弊してしまう部分だと思います。医師からの鎮痛剤や睡眠薬の頓用薬処方がある場合は、活動と睡眠のバランスがとれるよう、使用の時間を患者さんと一緒に相談したり、1日使用量や使用間隔も考慮し一緒に考えていく必要があります。もし私が入院している患者さんの立場だったら、知識を持っている専門の人と一緒に考えたり、提案してもらったら嬉しいなと思うのでできるだけ寄り添えるように心がけていました。

③5つの力

それは、アセスメント力、予測する力、冷静に判断する力、多重業務をこなす力、五感力であると私は考えます。

 

アセスメント力

 解剖、術式、術後の経過、術後合併症の病態についての知識があると、なぜ今の状態になっているのか、これ以上悪化させないためにどのようなケアが必要なのか、について考えることができます。様々な状況の患者さんがいらっしゃるので考える機会が多く、鍛えることができます。また他の看護師との意見交換を行うことでさらに知識が深まっていきます。

予測する力

 アセスメントができていると次の状態を予測することができます。先のことを次々と考え、状態が悪化した際にすぐに対応できるよう物品をそろえておくなど、身の回りや心の準備ができ対応できます。物品をそろえていなくとも頭の中にあるだけでもだいぶ違うと思います。すぐに鍛えられるかと言われれば時間はかかるかもしれませんが、日々のかかわりで成長することができます。

冷静に判断する力

「アセスメント力」「予測する力」があると次に行動を起こす判断を冷静に決めることができます。私は今でも急変時はドキドキしてしまい、まだ成長途中段階だとは思いますができるだけ、判断材料となる「アセスメント力」「予測する力」を鍛えられるよう考えることを心がけていました。

多重業務をこなす力

 どこの病棟でも多重業務はあると思います。循環器病棟も様々な仕事が一度に重なるため優先順位を決めてこなしていく必要があります。「循環器病棟はどんな病棟?」の記事の1日の流れでも紹介した通り、基本の仕事のほかにも、合間にはナースコール対応(排泄ケア、トイレ介助、緊急時など)がありますし、心電図の波形をこまめに観察する、丁寧な患者さんの対応、心のケア、指導、急変時の対応、検査出しなどが一度に重なることがあります。忘れないようにメモも活用しながら頭の中の時間軸に大まかなスケジュールを組み、一つ一つこなしていくように働いていました。

 病棟は広いため、できるだけ少ない動線で動くことも意識していました。物品を忘れてナースステーションまで取りに戻る動作ですら体力も時間も失ってしまうため、動く前に必要なものを準備し、どの順番で回るのか頭の中でスケジュールを立てて移動していました。頭の中で考える癖がついていたと思います。

五感力

 多重業務をこなすためには、五感を研ぎ澄ませて常にアンテナを張ることが大切です。間接視野でものを把握したり、アラーム音を聞き分けたり、バイタルサインでは実際に体に触れて体温は温かいか冷たいか、冷汗をかいているのか、浮腫みはあるのか、など得られる情報はたくさんあります。働いていると自然と身につく力だと思います。

 

まとめ

 少し長くなってしまいましたが、当時働いていたことを思い出して、私が大切にしていたこと、学べたことについて記載していきました。参考書で看護について調べてみると、「看護:血圧管理、精神的ケア」など大まかな内容しか書いていないものが多く、看護は実際に経験するしか情報がないのだと思っていました。なかなか実体験を載せている参考書は少ないと感じていたため、看護の実際について皆さんにシェアできるようなブログにしたいと思い始めてみました。まだ始めたばかりで手探りな状態ですが、今後もよい記事が書けるよう勉強していきます。よろしくお願いします!

 



循環器①~術後合併症編~

今回は、病棟で働いてなにを学ぶことができたか、について投稿していきます。

学べることがとても多かったので新卒から循環器病棟で働くことができて本当に良かったと思っています!!

 

結論から話すと、

  1. 医療行為、看護ケア
  2. かかわり
  3. 5つの力

この3つを学ぶことができたと私は考えています。

 

 

今回は長くなるので、

①術後合併症編

②学べること編

の2回にわけて投稿します。

 

 

順調に経過が進む患者さんもいらっしゃいますが、実際は高齢者や既往歴を持っている方や術後合併症を併発した患者さんもおられ、経過が長くなる場合があります。

 

まずは術後合併症についておさらいします。心臓または周囲の血管の手術をするとほかの臓器にも影響があることがよくわかります。

 

心臓の解剖図

 

 

左:心臓自体に栄養を送る冠動脈

右:心臓の中を循環する血液の流れ

 

心臓周囲の血管の解剖図

 上行・弓部の大動脈からは腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈の三つの血管に枝分かれしています。脳、左手に血液を送っています。そのうち腕頭動脈は右総頚動脈・右鎖骨下動脈に枝分かれしています。脳、右手に血液を送っています。

術後合併症

 (1)一般的な術後合併症

 創部感染・・・胸部20~30㎝の大きな傷があります。既往に高血糖がある患者は創部感染リスクが高いため注意が必要です。

 縦隔炎・・・術後、ドレーンのチューブからの逆行感染、高血糖などが原因です。

 尿路感染・・・尿道カテーテルからの逆行感染、陰部の不衛生による感染が原因です。

 人工弁/人工血管感染・・・歯周病等で歯茎の近くにある血管から菌が侵入すると、人工弁や人工血管に菌が付き、心臓からの循環によって全身に菌が送られ、敗血症をおこし重症になってしまう可能性があります。

 (2)全身麻酔による合併症

 呼吸器の合併症・・・呼吸抑制、酸欠による低酸素状態、肺胞機能の低下など

 人工呼吸器装着による合併症・・・チューブ刺激による痰量増加、痰貯留による気管閉塞リスクや肺炎、無気肺、チューブ挿入による声帯や咽頭部の損傷での嚥下機能低下、誤嚥性肺炎、嗄声咽頭

 消化器の合併症・・・術後腸管麻痺、イレウス、嘔気嘔吐(嚥下機能低下があると誤嚥リスク高まる)

 腎臓泌尿器の合併症・・・血圧変動や術後の浮腫みによる腎機能の低下、尿毒症、尿閉

 その他・・・術中同一体位による痺れや麻痺などの感覚障害、意識障害やせん妄状態

 (3)術式による合併症

 冠動脈大動脈バイパス術

 心タンポナーデ・・・術後の出血量の増加やドレーン閉塞などが原因で起こる可能性があります。

 術後の冠動脈攣縮による不整脈心筋梗塞・・・バイパスで使用することの多い橈骨動脈は特に収縮してしまう可能性があるため不整脈心筋梗塞を起こす可能性があります。

 上行大動脈置換術

 緊急手術が多いです。術前から心タンポナーデを起こしている可能性があり、手術時に急激な血圧上昇や大動脈破裂を生じるリスクがあります。

  脳障害・・・心臓周辺の血管手術をするために心臓を止めて手術を行います。脳への循環を途絶えさせないために体外循環を使用して脳に血流を送り脳保護を行います。脳障害を起こさせない安全限界は30分前後とされています。術中の血圧低下による脳還流障害、空気や血栓などの閉塞による脳梗塞、ヘパリンの使用や出血傾向などによる脳出血など起こす可能性があります。

 弓部大動脈置換術

 脳障害・・・上行大動脈置換術同様、脳へつながる血管分岐しているため手術により脳障害を起こす可能性があります。

 反回神経麻痺・・・反回神経とは声帯や嚥下機能を司っている神経です。ちょうど弓部の部分で反回しているため、術操作の圧迫や元からあった瘤による圧迫などで麻痺が生じる可能性があります。右にも反回神経がありますが、左のほうが長く血管に絡みついているため右よりも左の反回神経麻痺が多いと言われています。

 下行大動脈置換術

 前脊髄動脈閉塞症候群・・・脊髄動脈に血管閉塞が起こると麻痺が生じ、感覚障害や、膀胱直腸障害、対麻痺が生じる可能性があります。術中の血管遮断時間の長さや術中の低血圧による脊髄虚血大動脈からの塞栓症などが原因とされます。

 弁置換術

 不整脈・・・心臓の電気回路の近くを操作するため術後不整脈を起こす可能性があります。ペースメーカーを挿入する場合もあります。

 

※参考

「ICU3年目ナースのノート 監修 道又元裕」

「見てできる臨床ケア図鑑 ICUビジュアルナーシング 監修 道又元裕」

 

まとめ

 心臓や大血管は身体の中心部にあるので、病変が起こり手術をするとさまざまな臓器に影響します。心臓なのに歯が関係していたり、消化器や腎臓泌尿器系にも影響を及ぼしたり、解剖をしっかり理解しているとすべてがつながりますね。解剖の理解や術後の身体の流れを理解していると、実際に看護するときに、「なぜそのケアが必要なのか」がわかっていきます。先を見据えた看護をするためにも知識のインプットはとても大切です。

 



循環器病棟ってどんな病棟?

循環器病棟と聞いてみなさんどんなイメージを持ちますか?

心電図?急変?バタバタしてそう?難しそう?、、、

 

 

私は循環器外科病棟に勤務していました。

学ぶことはとても多いです。ですが、心臓や血管に病変が起こるとさまざまな臓器に影響を与えるため、すべてが繋がると患者さん一人の全体像を看ることができ、達成感を感じられます。

私の投稿を読んで少しでも循環器に興味をもっていただけたら嬉しいです!

主に外科での経験ですが、循環器病棟がどんなところかお話していきます。

 

 

 

病棟の特徴

 内科と外科の違い

 内科は薬による治療や全身麻酔を用いない手術の治療、外科は全身麻酔を用いる手術の治療と考えていただくとわかりやすいです。

 具体的には、内科では主に降圧薬や狭心症薬などの薬物療法中心の治療、カテーテルを使用した侵襲の小さな手術による治療を行います。外科では全身麻酔を行い、開胸術や開腹術を行う侵襲の大きな手術による治療を行います。

 患者さんの動き

 手術直後ICUに移動、約1~3日全身管理を行い呼吸器離脱、患者さんの意識回復、出血量やその他バイタルサイン・血液データの逸脱がないかを確認し、状態が安定してきたら外科病棟に移動していきます。病棟ではその後の状態観察を継続、患者さんが一人で、もしくは家族付き添いで自宅に帰ることを目標にリハビリし、看護師は退院指導を行っていきます。

主な疾患と治療

 ・狭心症心筋梗塞

  →冠動脈大動脈バイパス術

 ・胸部大動脈瘤腹部大動脈瘤(瘤ができる場所によって種類は様々あります)

  →人工血管置換術、ステントグラフト内挿術

 ・胸部大動脈解離腹部大動脈解離(解離起きる場所によって種類は様々あります)

  →人工血管置換術、降圧薬を用いた保存療法

 ・心臓弁膜症

  →弁置換術

 ・閉塞性動脈硬化症

  →フットケア、抗血小板薬や血管拡張薬などを用いた保存療法、血行再建術、下肢切断

 ・不整脈

  →薬物療法、電気ショック、ペースメーカー内挿(内科に転科することもある)

 ・感染性心内膜炎

  →抗生物質投与の薬物治療、弁修復・置換術

  ※病棟によっては扱う疾患が異なっている場合があります。

入院している患者さんの状態

 手術後、状態が安定して病棟に移動してきているとはいっても、身体には血液を外に出すためのチューブや点滴の太いチューブ、尿を出すためのチューブなどが入っており、手術した傷には大きな絆創膏が貼られ痛みのコントロールが必要な状態です。また、全身麻酔による身体への影響も大きく、人工呼吸器による肺へのダメージや、身体にメスを入れることで起こる炎症反応による浮腫み、著しい筋力の低下、回復期の精神状態の変化など、身体や精神状態は手術前とは異なり様々な変化が起こります。リハビリをして少しずつ回復を待ち、看護師は異常の察知とサポートを行うことになります。

看護する上で大切にしたこと

 私なりにまとめてみました。

 異常の察知

 毎勤務バイタルサイン測定を行います。体温、血圧、SpO2、呼吸数の数値に異常はないか、フィジカルに観察し気になるところはないか確認、アセスメントしていきます。数値に異常がなくてもフィジカル面で異常の早期発見ができる場合がありますのでよく観察することを大切にしていました。

 そして、心電図をよく見ます。現在の波形、過去の波形、入院前の波形をよく見比べて変化がないか観察し、変化や異常があれば医師へ報告します。ナースステーションに患者さんの心電図波形が映し出され異常時はアラーム音が鳴ります。病棟は広いため、奥の部屋に入っていても耳をよく研ぎ澄ませすべてのアラーム音に反応していく必要があります。

 急変も時々起こります。もちろん毎回同じ状況ではないため、「こんな時どうする?」とドキドキしてしまいますが、その時持っている知識と今までの経験を思い出し先輩と相談しながら今出せる力を出し切れるよう対応していました。急変にはなにかしらの予兆があります。突然の急変で焦ってしまわないように、日ごろからアンテナを張って日々のバイタルサイン測定時に予兆の段階でキャッチできるよう心がけることが大切です。

 安全な入院生活

 入院中一番多い事故は転倒・転落です。前述したように術後は著しい筋力低下がみられ、痛みもあるためより転倒しやすくなっています。転倒して頭を強く打ち意識が戻らなくなってしまう患者さんや、たくさんのチューブが入った状態で転倒した際に大量出血してしまう場合もあるため転倒・転落は要注意です。履物やベッド周囲の環境を整えることが大切になっていきます。

 次に多いのがチューブ類の誤抜去です。たくさんのチューブが入っていればいるほどチューブが絡まりベッド柵や手すりに引っかかって誤って抜けてしまう場合があります。患者さんにもチューブの必要性を理解いただき、私たちも注意し患者さんにも気を付けてもらえる環境を整えることも大切です。

 コントロール

 入院中は痛みや血圧、排便のコントロールが大切になっていきます。痛み止めを使用してできるだけ患者さんの苦痛を減らすことはもちろん、リハビリの時間に合わせて内服時間を一緒に考え提案することも大事な看護です。そのためには、薬の知識も必要になっていきますね。術後は血圧の変動も著しいため、運動や食事、排便などで生じる血圧変化についても医師へ報告し、相談していく必要があります。

 退院に向けてのサポート

 今の医療では早期離床、早ければ早いほど回復は早いとされています。そのため、コントロールでもお話ししたように、早い段階で痛み止めをうまく使用しできるだけ早くベッドから離れて歩行できるように促していく必要があります。

 「心臓の大きな手術をしたからこれからは注意していくよ」と退院前に話される患者さんがいました。生死を分けるほどの大きな疾患であり、まずはそういった病気であることを理解してもらうこと、前と同じような生活を続けていると悪化する可能性や新たに発症する可能性もあること、退院後も血圧の管理は大切であることを入院中から伝えていく必要があります。また、具体的にどのように管理したらよいか一緒に考え、入院中から練習できるような環境を作ることも大切になっていきます。

1日の日勤の流れ(ペア看護の場合)

   8:00 情報収集

   8:30 申し送り

   9:00 受け持ち患者(ペア看護:2人で10~14人)のバイタルサイン測定

     状態の観察をしてペア看護師と相談しアセスメントする。

     心電図の観察。

     2時間ごとに排泄量(尿やドレーン排液など)を確認する場合は実施。

     都度医師へ報告、医師からの指示受け、点滴投与など

 11:30 ペア同士で休憩を回す

 12:00 食前薬配薬、血糖測定、インシュリン投与、配膳、食事介助

 13:00 下膳

 14:00 カンファレンス

     受け持ち患者の看護計画についてや、情報共有したいこと、

     意見がほしい時など議題をあげる。

 15:00 午後必要な患者さんはバイタルサイン測定と異常時は医師へ報告。心電図の観察。

     翌日の検査や手術、退院などの準備、退院指導

 16:00 勤務終了前のラウンド

 17:00 就業

 

 色々なことにアンテナを張っているため、あっという間に1日が終わります。

まとめ

 他の病棟もそうだとは思いますが、日々知識のアップデートが必要な病棟です。大変かもしれませんがその分得られるものはたくさんあります。勉強して学んだ部分をすぐに経験できること、心臓だけではなく、嚥下機能・肺・消化器・腎臓泌尿器系・水分バランスなど一人の身体全体を看ることができるところ、看護師は24時間の経過を知っているため例えば降圧薬など効きすぎてここ数日数値が低めの傾向であれば医師に相談したりなど、ある程度自分たちで根拠をもとにアセスメントした内容を医師へ相談できることも楽しさの一つでした。あとはもちろん、大きな手術を乗り越えた患者さんが元気に帰っていく姿をみることがなによりのやりがいでした!

 もう少し具体的にかける部分があれば今後も投稿していきますので是非見に来てください!

 

ごあいさつ

 

はじめまして。はなと申します。

 

 看護師で経験したこと勉強したことを皆さんにシェアしていこうと思いブログをはじめてみました。他にも、不妊治療、妊娠、出産、子育てについても投稿できたらなと思っています。

 

簡単な自己紹介をします!

 

【年齢】

 もうすぐ30代

【性別】

 女

【経歴】

 大学病院で病棟看護師5年(循環器外科)、老人ホーム施設看護師1年、今は看護師の単発バイト時々やってます。

【好きなこと】

 猫、猫のyoutube動画、ドラマ・映画鑑賞、手芸、SEKAINO OWARI

【育ったところ】

 小学校低学年までは田んぼのある大自然のなかすくすくと育ちました。そこから父の仕事の関係で都会に引っ越し現在に至ります。

【看護師になった経緯】

 看護師は「小さいころからの夢!」といったわけではなく、進路を決める高校2年生までは興味はありませんでした。研究者の道に進むか、普通の会社に勤めるのか悩む毎日。将来の仕事は考えても想像がつかなかったので、「じゃあ、大学で学びたいことはなんだろう?」と考えた時に、興味のあった解剖学・医学を学びたいと思い(医学部はこの時期にはもう難しいと思いました。)看護学科を受験しました。学生時代は大変でしたが、実習やインターンに行き看護師の仕事は楽しいかも!と思いそのまま就職しました。

【循環器を希望した理由】

 もともとは、実習での経験から小児看護に興味があり、卒論も小児看護に関する内容を提出していました。当時のゼミの先生に相談すると、「初めのころは看護とはなにかを学ぶためにも、まずは一人の人間を看られるように基礎固めをしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスをもらい、循環器病棟を希望しました。

【現在】

 現在、第1子妊娠中のため退職し看護の環境から離れていますが、時々単発のアルバイトでデイサービスなどで働いています。

 この第1子は、不妊治療(体外受精)で授かりました。不妊治療での経験もブログに残せていけたらなと思っています。

 

 

 自分の経験したことがどなたかの参考になったり、看護師経験としてはまだまだ浅いため一緒に勉強できたらいいなと思っています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします!!