循環器病棟と聞いてみなさんどんなイメージを持ちますか?
心電図?急変?バタバタしてそう?難しそう?、、、
私は循環器外科病棟に勤務していました。
学ぶことはとても多いです。ですが、心臓や血管に病変が起こるとさまざまな臓器に影響を与えるため、すべてが繋がると患者さん一人の全体像を看ることができ、達成感を感じられます。
私の投稿を読んで少しでも循環器に興味をもっていただけたら嬉しいです!
主に外科での経験ですが、循環器病棟がどんなところかお話していきます。
病棟の特徴
内科と外科の違い
内科は薬による治療や全身麻酔を用いない手術の治療、外科は全身麻酔を用いる手術の治療と考えていただくとわかりやすいです。
具体的には、内科では主に降圧薬や狭心症薬などの薬物療法中心の治療、カテーテルを使用した侵襲の小さな手術による治療を行います。外科では全身麻酔を行い、開胸術や開腹術を行う侵襲の大きな手術による治療を行います。
患者さんの動き
手術直後ICUに移動、約1~3日全身管理を行い呼吸器離脱、患者さんの意識回復、出血量やその他バイタルサイン・血液データの逸脱がないかを確認し、状態が安定してきたら外科病棟に移動していきます。病棟ではその後の状態観察を継続、患者さんが一人で、もしくは家族付き添いで自宅に帰ることを目標にリハビリし、看護師は退院指導を行っていきます。
主な疾患と治療
→冠動脈大動脈バイパス術
・胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤(瘤ができる場所によって種類は様々あります)
→人工血管置換術、ステントグラフト内挿術
・胸部大動脈解離、腹部大動脈解離(解離起きる場所によって種類は様々あります)
→人工血管置換術、降圧薬を用いた保存療法
→弁置換術
→フットケア、抗血小板薬や血管拡張薬などを用いた保存療法、血行再建術、下肢切断
・不整脈
→薬物療法、電気ショック、ペースメーカー内挿(内科に転科することもある)
→抗生物質投与の薬物治療、弁修復・置換術
※病棟によっては扱う疾患が異なっている場合があります。
入院している患者さんの状態
手術後、状態が安定して病棟に移動してきているとはいっても、身体には血液を外に出すためのチューブや点滴の太いチューブ、尿を出すためのチューブなどが入っており、手術した傷には大きな絆創膏が貼られ痛みのコントロールが必要な状態です。また、全身麻酔による身体への影響も大きく、人工呼吸器による肺へのダメージや、身体にメスを入れることで起こる炎症反応による浮腫み、著しい筋力の低下、回復期の精神状態の変化など、身体や精神状態は手術前とは異なり様々な変化が起こります。リハビリをして少しずつ回復を待ち、看護師は異常の察知とサポートを行うことになります。
看護する上で大切にしたこと
私なりにまとめてみました。
異常の察知
毎勤務バイタルサイン測定を行います。体温、血圧、SpO2、呼吸数の数値に異常はないか、フィジカルに観察し気になるところはないか確認、アセスメントしていきます。数値に異常がなくてもフィジカル面で異常の早期発見ができる場合がありますのでよく観察することを大切にしていました。
そして、心電図をよく見ます。現在の波形、過去の波形、入院前の波形をよく見比べて変化がないか観察し、変化や異常があれば医師へ報告します。ナースステーションに患者さんの心電図波形が映し出され異常時はアラーム音が鳴ります。病棟は広いため、奥の部屋に入っていても耳をよく研ぎ澄ませすべてのアラーム音に反応していく必要があります。
急変も時々起こります。もちろん毎回同じ状況ではないため、「こんな時どうする?」とドキドキしてしまいますが、その時持っている知識と今までの経験を思い出し先輩と相談しながら今出せる力を出し切れるよう対応していました。急変にはなにかしらの予兆があります。突然の急変で焦ってしまわないように、日ごろからアンテナを張って日々のバイタルサイン測定時に予兆の段階でキャッチできるよう心がけることが大切です。
安全な入院生活
入院中一番多い事故は転倒・転落です。前述したように術後は著しい筋力低下がみられ、痛みもあるためより転倒しやすくなっています。転倒して頭を強く打ち意識が戻らなくなってしまう患者さんや、たくさんのチューブが入った状態で転倒した際に大量出血してしまう場合もあるため転倒・転落は要注意です。履物やベッド周囲の環境を整えることが大切になっていきます。
次に多いのがチューブ類の誤抜去です。たくさんのチューブが入っていればいるほどチューブが絡まりベッド柵や手すりに引っかかって誤って抜けてしまう場合があります。患者さんにもチューブの必要性を理解いただき、私たちも注意し患者さんにも気を付けてもらえる環境を整えることも大切です。
コントロール
入院中は痛みや血圧、排便のコントロールが大切になっていきます。痛み止めを使用してできるだけ患者さんの苦痛を減らすことはもちろん、リハビリの時間に合わせて内服時間を一緒に考え提案することも大事な看護です。そのためには、薬の知識も必要になっていきますね。術後は血圧の変動も著しいため、運動や食事、排便などで生じる血圧変化についても医師へ報告し、相談していく必要があります。
退院に向けてのサポート
今の医療では早期離床、早ければ早いほど回復は早いとされています。そのため、コントロールでもお話ししたように、早い段階で痛み止めをうまく使用しできるだけ早くベッドから離れて歩行できるように促していく必要があります。
「心臓の大きな手術をしたからこれからは注意していくよ」と退院前に話される患者さんがいました。生死を分けるほどの大きな疾患であり、まずはそういった病気であることを理解してもらうこと、前と同じような生活を続けていると悪化する可能性や新たに発症する可能性もあること、退院後も血圧の管理は大切であることを入院中から伝えていく必要があります。また、具体的にどのように管理したらよいか一緒に考え、入院中から練習できるような環境を作ることも大切になっていきます。
1日の日勤の流れ(ペア看護の場合)
8:00 情報収集
8:30 申し送り
9:00 受け持ち患者(ペア看護:2人で10~14人)のバイタルサイン測定
状態の観察をしてペア看護師と相談しアセスメントする。
心電図の観察。
2時間ごとに排泄量(尿やドレーン排液など)を確認する場合は実施。
都度医師へ報告、医師からの指示受け、点滴投与など
11:30 ペア同士で休憩を回す
12:00 食前薬配薬、血糖測定、インシュリン投与、配膳、食事介助
13:00 下膳
14:00 カンファレンス
受け持ち患者の看護計画についてや、情報共有したいこと、
意見がほしい時など議題をあげる。
15:00 午後必要な患者さんはバイタルサイン測定と異常時は医師へ報告。心電図の観察。
翌日の検査や手術、退院などの準備、退院指導
16:00 勤務終了前のラウンド
17:00 就業
色々なことにアンテナを張っているため、あっという間に1日が終わります。
まとめ
他の病棟もそうだとは思いますが、日々知識のアップデートが必要な病棟です。大変かもしれませんがその分得られるものはたくさんあります。勉強して学んだ部分をすぐに経験できること、心臓だけではなく、嚥下機能・肺・消化器・腎臓泌尿器系・水分バランスなど一人の身体全体を看ることができるところ、看護師は24時間の経過を知っているため例えば降圧薬など効きすぎてここ数日数値が低めの傾向であれば医師に相談したりなど、ある程度自分たちで根拠をもとにアセスメントした内容を医師へ相談できることも楽しさの一つでした。あとはもちろん、大きな手術を乗り越えた患者さんが元気に帰っていく姿をみることがなによりのやりがいでした!
もう少し具体的にかける部分があれば今後も投稿していきますので是非見に来てください!